ニュースを見ていると、「日本国旗損壊罪」という法律が施行されたことを知りました。
国旗を傷つけたり、汚したりする行為が処罰の対象になるとのことですが、具体的にはどのような行為が対象になるのでしょうか。
また、表現の自由との関係についても気になりました。
そこで今回は、日本国旗損壊罪について、どのような法律なのか、何が処罰の対象になるのか、どのような場合に処罰されないのかを調べてみることにしました。
日本国旗損壊罪とは?
調べてみると、正式には「国旗の損壊等の処罰に関する法律」という法律であることが分かりました。
この法律は2026年7月17日に成立し、同年8月13日から施行されました。法律番号は「令和8年法律第69号」です。
この法律では、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により、公然と国旗を損壊し、除去し、又は汚損する行為を処罰の対象としています。
法務省のQ&Aでは、国旗損壊等罪は、国旗を大切に思う国民感情を保護する罪とされています。
公的年金制度について調べたときとは違い、今回はニュースをきっかけに、成立した法律そのものを確認してみることにしました。
「国旗」ってどんなもの?
法律では、「国旗」とは、「国旗及び国歌に関する法律」に定める国旗として用いられていると社会通念上認められる有体物を指すとされています。
そのため、法律で定められた日章旗の寸法や日章の位置、彩色などに完全に一致していなくても、社会通念上、日章旗として用いられているものであれば「国旗」に該当すると考えられています。
法務省のQ&Aでは、学校行事などで掲揚されている日章旗や、スポーツの応援などで使われる日章旗の小旗、自作したものであっても一見して日章旗と認識されるものなどが、「国旗」に該当するものとして挙げられています。
一方で、お子様ランチの旗や、日章旗が描かれたTシャツのように、装飾として使われているに過ぎないものは「国旗」には該当しないとされています。
また、アニメ・漫画・ゲームに描かれた日章旗や、生成AIによって作成された日章旗についても、有体物ではないため「国旗」には該当しないと説明されています。
「国旗」といっても、日章旗の形をしたものがすべて対象になるわけではなく、どのように使われているものなのかという点も関係することが分かりました。
どんな行為が処罰の対象になる?
法律を確認すると、単に国旗を傷つけたり汚したりしただけで処罰されるという規定ではありませんでした。
対象となるのは、
「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により、公然と」
国旗を損壊、除去、又は汚損した場合です。
法務省のQ&Aでは、「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」について、一般通常人から見て、ひどく快くないと感じさせたり、不愉快に感じさせたりするような方法を指すと説明されています。
また、その判断は、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して行うとされています。
さらに、行為者が伝えようとした表現やメッセージの内容を考慮して判断するものではないと説明されています。
ニュースだけを見ると「国旗を傷つけたら処罰される」という印象を持ちましたが、実際には法律上いくつかの条件が定められていることが分かりました。
「公然と」ってどういう意味?
今回調べていて、「公然と」という言葉も気になりました。
法務省のQ&Aでは、「公然と」とは、物理的な空間かネット空間かを問わず、不特定または多数の人が認識できる状況を意味すると説明されています。
そのため、駅前や公道、公園などだけではなく、不特定または多数の人が認識できる状況であれば、ライブ配信で国旗を損壊するような場合も「公然と」に該当すると考えられています。
一方、自室など、不特定または多数の人が認識できない状況で国旗を損壊し、その様子を撮影して後からインターネットで配信した場合については、その損壊行為も事後的な動画配信も、国旗損壊等罪の処罰対象とはならないとされています。
「公然と」という言葉は、単に屋外で行ったかどうかという意味ではないことが分かりました。
「損壊」「除去」「汚損」とは?
法律には「損壊」「除去」「汚損」という3つの言葉が出てきます。
法務省のQ&Aでは、それぞれについて具体的に説明されています。
「損壊」は、引き裂く、切り刻む、焼損するなど、国旗を物理的に破壊する行為です。
「除去」は、掲揚されている竿から引き降ろすなど、国旗を場所的に移転する行為や遮蔽する行為です。
「汚損」は、墨汁を塗る、泥のついた靴で踏み付けるなど、国旗に人に嫌悪の感を抱かせるものを付着させるなどの行為とされています。
言葉だけでは分かりにくい部分でしたが、具体例を見ることで、それぞれの違いを整理することができました。
罰則は?
処罰についても調べてみました。
国旗損壊等罪の法定刑は、
- 2年以下の拘禁刑
- 20万円以下の罰金
とされています。
国旗を損壊、除去、又は汚損する行為のすべてが対象になるのではなく、法律に定められた条件を満たした場合に、この罰則の対象となります。
誤って国旗を損壊した場合は?
もう一つ気になったのが、誤って国旗を傷つけてしまった場合です。
法務省のQ&Aでは、国旗損壊等罪は故意犯とされているため、誤って国旗を損壊等した場合には、この罪の処罰対象にはならないと説明されています。
単に結果として国旗が傷ついたというだけでは、この罪の対象になるわけではないことが分かりました。
表現の自由との関係は?
今回の法律について調べていると、表現の自由との関係も気になりました。
法律には、適用に当たって、表現の自由その他の日本国憲法が保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならないとする規定があります。
さらに法務省のQ&Aでは、政治的表現や芸術的表現として行われた国旗の損壊等について、構成要件に該当したとしても、刑法第35条の正当行為に該当して違法性が阻却される場合には、処罰対象とはならないと説明されています。
法律の内容だけでなく、表現活動との関係についても規定や考え方が示されていることが分かりました。
この法律は何のために作られた?
法務省のQ&Aによると、この法律は、国旗を大切に思う国民感情を保護するためのものとされています。
法案の提案理由については、日本では外国国旗の損壊等に関する罪がある一方、自国国旗の損壊等について同様の規定がない状況だったこと、日本国内でも日本国旗を損壊する事例が確認されていることなどが説明されています。
また、SNSの普及やグローバル化の進展などを背景として、そのような事案の発生を将来に向かって抑止する必要があることから、処罰規定を設けたとされています。
法律の内容だけでなく、なぜこの法律が作られたのかまで確認すると、制度の背景も分かりやすくなりました。
今回調べてみて
今回調べてみて、ニュースだけを見ると「国旗を傷つける行為が犯罪になった」という単純な話に見えましたが、実際に法律と法務省のQ&Aを確認すると、処罰の対象にはいくつかの条件があることが分かりました。
また、「国旗」についても、学校行事などで掲揚される日章旗やスポーツ応援の日章旗の小旗などが該当する一方、お子様ランチの旗や日章旗が描かれたTシャツ、アニメ・漫画・ゲームに描かれた日章旗、生成AIによって作成された日章旗などは該当しないと説明されていました。
さらに、「公然と」という要件や、損壊・除去・汚損の意味、故意でなければこの罪の処罰対象にならないこと、政治的・芸術的表現との関係なども確認することができました。
ニュースをきっかけに法律そのものだけでなく、法務省のQ&Aまで調べてみると、報道だけでは分からなかった具体的な条件や事例まで知ることができました。
今回は、日本国旗損壊罪について調べた記録として残しておこうと思います。

